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米について

 日本の伝統食品として、筆頭に挙げられるのは白米の御飯=米ではないでしょうか。

 当店では生産者の顔が見えることを念頭に、田んぼで生産する人の大変な労働で確保された「自然」の中で育つイネに出会って、はじめて店頭に歓待します。生産される農家の皆様は、「人の口に入る食べ物である」ことを深く意識なさって、日々農薬を使わない手間、有機肥料を施す困難を研究、実行されておられます。
 酒造りにとっても欠かせない米は、安易に手にはいる、低価格であるなどの理由に押されて、都市部に生きる私達の生活のたくさんの楽しみを享受するための、合理的な生活様式の中の1品に過ぎない扱いも見受けられます。

 言葉だけの「無農薬、有機栽培」の中に、ひとと自然の健康を考えつつ、つくるお仕事を喜びをもって励んでおられる生産農家の方々の熱意と希望を感じていただければと思います。

会津和泉 須藤久孝さん

 私が日頃「良心」の問題を取り上げていますが、須藤さんもかつては農薬を使用しておりました。

 農業を始めた時は野菜作りから。ある日、彼が言語の障害を訴え、医師も原因不明の診断とのこと。目前で農薬を散布する様子に昆虫類の死にゆくさまと人体への影響に思いやり、もしやと思い農薬散布をやめると全快したそうです。農薬の恐ろしさと、今までそんな恐ろしいものを使用して米作りをしていたことの良心の呵責にを感じて、農薬との決別を決意したそうです。

 時代は1970年代、まだまだ世間の理解が得られない頃から四苦八苦して、少数の人への直販など小規模サイクルの農家を開始。1984年ぐらいから本格的な堆肥作りと無農薬の米作りをはじめます。

 こうして農業経営全体を稲作を中心とした生態系サイクル農業にしていきます。完熟稲わら堆肥等、有機肥料を使い、除草のためにはアイガモによる除草を行っています。

 須藤さんのお人柄をお伝えしますのに、新米の季節に頂きましたメッセージを掲載させていただきます。私の両親が福島出身のこともあって御縁があったのですが、以下の文章で滋味溢れるお米の味が想起できるのではないでしょうか。


お元気でしょうか会津のすどう農産です。

 今年も新米の季節となり、私達の心をお伝えしたくて農家通信を送らせていただきます。毎日朝、夕に米や野菜に話しかけておりますと、人の思いを受けとめて応えてくれるのがはっきりわかります。

 こんな命のかよったお米や野菜をゆっくりと愛情を込めて調理すればかならず命にこたえてくれます。
 稲の種は水と酸素にふれながら芽を出してきます。やがてぬくもりのベッドから自然界の大地に根を降ろし、生命の誕生になるけれど育てていく途中に楽に生産したいばっかりに農薬やホルモンを使ってしまうのが現代の農業の姿なのです。

食べる人の命や健康を考えるのが農業者(農家)だと思います。
食べてくれる人々によって守られ生長するのも農家(人)です。
そして食べてくれる人々の為に精いっぱい働く事ができるのも自然を相手の農家だからできるのかも知れません。
心から愛情が吹き出るのを感じることができます。

土を命とし
風は友となり
陽は夢となる

あなたの子へ
子から孫へ、安らぎのある心と味を
ここ会津の地から伝えます。
あなたの健康と幸福を祈りつつ。
           感謝
あなたへ

須藤久孝さん
会津和泉 須藤久孝さん
無農薬無化学肥料米こしひかり

宮城 一迫 遊佐康弘さん

 自然生態系を利用した米作りをしていらっしゃいます。彼との出会いは6年前、東京で行われた有機農法のシンポジウムでした。

 皆寡黙な人でしたが有機栽培にかける異常な情熱に驚き、さらにものづくり人の意地さえ感じました。こうして、「とにかく田んぼを見てみろ」と、田植えの手伝いにさ誘う様子に「他とは違うぞ、」という自信を感じまして、一路宮城へ。築館から鳴子温泉へと向かう農村風景はもう初夏の兆し、そして田んぼへ着いてやはり驚かされてしまいました。

 彼の田んぼだけが、春の野草に囲まれ青青しているのでした。他の田は稲しか育たない工場のような感触すら覚えました。言葉だけの無農薬、エコロジーではない田んぼで出会う小動物こそが安全の象徴であるという彼の寡黙さの中に秘めた信念と行動の結晶がそこにはありました。

 遊佐さんのお米の栽培の特徴は御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、紙マルチという、専用機で田んぼに紙を敷きながら、苗を植えていく方法です。
 紙は除草のために敷き、7月末ごろまでには溶けてしまいます。日光が通らずに、紙からつきだした稲以外の雑草が育たないという結果となります。

肥料も堆肥作りをはじめ有機肥料のみ。そして、自然乾燥。

 遊佐さんはお米を食べようと思っている人、食べている人に、田植えに来なさい、と本当に気軽にこえをかけてくれます。
遠慮せずに行くべきでしょう。

 本来の田園風景、そして懐かしいような三世代家族の食卓、なによりもごちそうになったお米、野菜のおいしいことといったら、ひょろひょろして野菜売り場の見た目だけにつくられた、ひ弱なものと違う、製造されたのではない、自然に育てられるお手伝いをされたもののもつ誇らし気な強さ。

 生命力をもつ食べ物である、田んぼの風景と共にこの米と野菜がとても尊く感じられました。

遊佐康弘さん

宮城 一迫 遊佐康弘さん
無農薬有機栽培米ササニシキ/みるきーくぃーん

写真撮影: 山野健治 氏

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